ABOUT
現代の日本は「超高齢化社会」に突入し、老いが社会問題として大きく取り上げられています。こうした状況下では、老化に対するネガティブかつステレオタイプな印象が強まっているようです。たとえば、「老害」「アンチエイジング」といった言葉からも、誰一人として避けられないエイジングに対抗したいという人間の必死な思いが透けて見えるように感じられます。
遡れば平安時代から老いを衰退と捉える風潮は存在していたとされ、「齢(よわい)」という言葉は「弱い」に掛かった同音異義語という説も提唱されています。このように、過去から現在そして未来へと、時間が進む方向が1つとされている以上、不可避で不可逆な"Aging"は人間にとって普遍的な主題であり、超えられない壁、あるいは、すべての物事を移ろいゆくものとして儚さを見出す無常観にも繋がるでしょう。
一方で、"Aging"という英単語には「物体の経年変化」という意味も含まれています。繰り返し使うことで手に馴染む革製品や、年月をかけて熟成するワインは"Aging"による賜物なのです。同じように、人間も歳月を重ねることで味わい深さが滲み出ると信じられれば、老いることに対する価値観も変化するのではないでしょうか。また、ひとりの人間のみならず、他者との関係性やその間で伝承される所作、交わされる言葉、その他の対象に"Aging"が及ぼす効果についても探求する余地があると考えています。
本展では、”Aging”に基づき、生きていく中で過ぎ行く時間をどのように認識し、多面的に解釈するかをテーマに掲げ、早稲田大学文化構想学部の表象・メディア論系のドミニク・チェンゼミと、基幹理工学部表現工学科の橋田朋子研究室の学生が学部や学年を超えてチームを組み、作品制作に取り組みました。
何をするにも「平成最後の」という接頭語が付いた2018年。そして、来年には新たな時代を迎え、改めて自分自身の"Aging"を実感する時期に差し掛かった今日。この展示が来場者の皆さまにとって、森羅万象を司る時間との付き合いかたを改めて考える機会になりましたら幸いです。
SCHEDULE
12月15日 12:00 - 18:00
制作展示 1日目 [予約不要 / 観覧無料]
12月16日 12:00 - 18:00
制作展示 2日目 [予約不要 / 観覧無料]
STAFF
教員
ドミニク・チェン / 橋田朋子
マネージャー
栗本佳歩 / 等力桂
テクニカルディレクター
飯塚里帆
メインビジュアル
中山祐之介 / 藤原奏人
コンセプト/コピー
飯塚里帆 / 千葉一磨 / 小田崇仁
設営
田中剛史 / 那須美早 / 細倉結衣
Web
佐久間響子 / 田中陽 / 松尾歩実
キャプション・看板制作
小泉篤志 / 設楽彩香 / 須藤菜々美 / 道地玲香
情報収集
北澤優也 / 鈴木敦也
写真・記録
浅賀大輝 / 谷口恵一朗 / 宮崎遥
英訳
道地玲香 / Nayeong Kim / フラハティ陸
広報
喜納恵理佳 / 宮崎遥
会計
喜納恵理佳
出展作家
浅賀大輝 / 飯塚里帆 / 上野安貴子 / 内田佐和 / 石田祐暉 / 小田崇仁 / 樺澤まどか / 神代真優 / 北澤優也 / 喜納恵理佳 / 栗本佳歩 / 小泉篤志 / 佐久間響子 / 設楽彩香 / 鈴木愛佳 / 鈴木敦也 / 須藤菜々美 / 高橋二稀 / 竹田毬恵 / 田代天音 / 田中陽 / 田中剛史 / 谷口恵一朗 / 千葉一磨 / 塚本明日香 / 等力桂 / 道地玲香 / 冨岡夏生 / Nayeong Kim / 中山祐之介 / 那須美早 / 藤田彩人 / 藤原奏人 / フラハティ陸 / 細倉結衣 / 松尾歩実 / 水品真実 / 宮崎遥 / 吉田櫻子 / 米原秀香
主催
ドミニク・チェンゼミ / 橋田朋子研究室 / amu
ACCESS
場所
コミュニケーションスペース amu by CONCENT
住所
〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西1丁目17−2
交通アクセス
JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン 恵比寿駅西口 徒歩4分
東京メトロ日比谷線 恵比寿駅4番出口 徒歩2分
ARCHIVE
2018年2月に行われた早稲田大学の文化構想学部表象・メディア論系の草原真知子ゼミとドミニクチェンゼミ、基幹理工学部表現工学科の橋田朋子研究室による合同展示です。