情報化社会とデジタルメディアの発達は、人間社会におけるヴァーチャルリアリティの存在感をますます高めた。いまや人類は、意識的にせよ、無意識的にせよ電脳空間(大抵はインターネット)が生み出すヴァーチャルな世界へ、生活の軸足を移そうとしている。
しかし、現状の電脳空間には通時的乃至共時的に誰かが存在していたという実感に乏しいという特徴からくる孤独感という問題点が存在している。
当作品はその無味乾燥な電脳インターフェースに、映像や音声を用いて強引に人々のあしあとを付け足した物である。果たして、私たちは0と1によって構成された世界で、人々の温もりや確かな気配を感じることができるのだろうか。