カーテンのシーツが風に吹かれ膨らみ、偶然人の形に見え驚く。ふと鏡に視線を落とすとそこに何者かがいるような感覚に囚われ、目が離せなくなる。
このような経験に覚えがある人はそう少なくないだろう。そこからは自然や日々の暮らしの中に溢れる目には見えない「気配」を敏感に感じとる日本人の独特な感性がうかがえる。
本作はそんな感性を喚起すべく作られたインスタレーション作品である。普段当然のように触れている物たちが各々動き「人ならざる何か」の気配を作り出した時、それまで過ごしていた日常に対して依然変わらぬ認識を保てるだろうか。